家族が他界すると遺言書が存在しない場合は相続手続きを経なければならなくなります。この相続手続きは「相続人特定の調査」と「財産の調査」から始まります。この一連の手続きは非常に手間がかかります。また、平日にしかできない事項もあり、特に手続きに不慣れな方にとっては、複雑で時間のかかる作業となります。
相続人の特定には、故人の出生から死亡まで一生にわたる戸籍等の収集や相続人全員の戸籍・住民票などが必要であり、また、相続財産の査定には不動産や金融資産、借入金、貸付金、絵画、自動車など多岐にわたり、取得するのにそれぞれ異なる書類や資料が必要です。
当事務所では、相続手続きにおいて、お客様を代行し、財産の種類に合わせた適切な支援を提供いたします。煩わしい手続きに苦しんでいる方々に対し、当事務所が包括的なサポートを行っており、費用を抑えるサポートパック料金で遺産分割協議書までの手続きもお引き受けいたします。
手続きの期限や必要書類をわかりやすく解説します
相続手続きには期限があるものがあります
相続は被相続人死亡の時点です。ご遺族は悲しみの中大変ではありますが期限のあるものがありますのでご注意ください。大切な方が亡くなっても手続きは待ってくれないのです。葬儀屋さんが教えてくれることもありますが、ご自分でもしっかりと確認をしておかないといけません。
《7日以内の期限があるもの》
| 死亡届 | 亡くなった人の本籍地または届出人の住所地の市町村役場 |
| 死体火葬許可申請書 | 亡くなった人の本籍地または届出人の住所地の市町村役場 火葬するために必要な書類です。火葬許可証(埋葬許可証)を交付してもらうために提出します。 ※火葬の場合、火葬場で死体火葬許可申請書の裏面に、火葬執行済みの印が押され遺族に返却されます。 この許可証は、墓地に納骨する際にも必要ですので、大切に保管ください。 |
上記2つはの届は同時に手続きをしましょう。葬儀屋さんなどが手続きの仕方を教えてくれたり代行をしてくれることが多いようです。
《14日以内の期限があるもの》
| 世帯主変更届 | 住所地の市区町村役場 ※世帯主に変更があった場合に届け出る必要があります。一人暮らしの方がなくなった場合は届け出る必要はありません。 |
| 健康保険の資格喪失手続き | 住所地の市区町村役場 国民健康保険・後期高齢者医療資格の喪失届けを行い健康保健証等を返却します。 ※葬祭費の請求も同時に行います。 ※国民健康保険以外の健康保険(会社員など)に加入していた場合は会社に連絡して手続きをしてもらいます。 |
| 介護保険の資格喪失手続き | 住所地の市区町村役場 65歳以上の方、または40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた方が亡くなった場合に必要です。 ※高額介護サービス費の払戻ができるケースがあります。同時に確認してください。 |
※役所に行く際は亡くなった方の『健康保険証』『介護保険証』『手当の受給者証』『手帳などの証明書類』『マイナンバーカード』や『郵便物』など手元に関係のありそうな書類を一式持っていくと二度手間になりにくいです。
少し余裕がでてきたら銀行口座凍結前に故人で不要な契約の解約や銀行口座で引落しがされている取引先の口座変更なども行いましょう。
※ガス・電気・水道・新聞・電話(固定・携帯)・NHK受信料金・スポーツクラブ会員・習い事・クレジットカード・ローン・生命保険など
《3ヶ月以内の期限があるもの》 ※本人が相続人だと知った時点から
| 相続放棄 | 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所 |
| 限定承認 | 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所 |
相続する財産が明らかに負債が多い場合は家庭裁判所に相続放棄の申述をしましょう。これには上記記載の期限があり、期限を過ぎると相続の放棄はできなくなり負債を相続することになります。
《4ヶ月以内の期限があるもの》
| 準確定申告 | 管轄税務署 ※次の項目に当てはまるかたは申告しなければなりません。 |
- 事業所得や不動産所得がある人
- 2,000万円を超える給与所得がある人
- 複数からの給与所得がある人
- 給与・退職所得・公的年金による雑所得以外の所得が20万円を超える人
- 生命保険の満期金や一時金を受け取った人
- 土地や建物を売却した人
- 株式などを売却して源泉徴収されていない人 など
《10ヶ月以内の期限があるもの》
| 相続税 | 被相続人の住所地を管轄する税務署 |
相続財産が基礎控除の額を上回ると相続税の申告をしなければなりません。基礎控除を上回ったとしても特に配偶者には高い税額控除があります。
相続手続きの流れ
1 相続開始(被相続人が亡くなった日)
相続手続は皆様が思っている以上に時間がかかります。財産を多岐にわたって所有していた方等の財産を引継がれる場合、相続税の対応にも時間がかかる恐れがあります。
また負債のある財産を引継ぐ恐れのある場合は相続放棄の手続は「本人が被相続人の死亡を知ってから3か月以内」と期間があるのでできる限り早めに財産調査を進めるべき事案です。
2 遺言書調査
相続手続の分岐点です。遺言書が存在するのかしないのかはこの後の相続手続に最も影響します。
遺言書の存在がなければ相続人全員の遺産分割協議を行わなくてはなりませんが、遺言書があれば直ぐに遺産継承の手続に進めます。
遺産分割協議が終わってから遺言書が発見されたケースなどでは、遺産分割協議は無駄になり、相続手続は振出しに戻り再遺産分配になり手間・労力・費用が膨大にかかります。
遺言書は自宅にあるばかりでなく知合いの弁護士等に預けているケースもあります。公正証書遺言で作成されている場合は全国の公証役場で検索することが可能です。
3 相続人の調査
法律上の相続人の範囲を確定する調査です。
被相続人の出生から死亡時までの戸籍を収集し相続人の範囲を法律上証明する行為です。前妻の子や知らない人を認知している場合など突然面識の無い人物が出てきて手続が滞る場合もありますので早めの調査が必要です。
相続人が確定をしたら法務局で「法定相続情報一覧図」を作成されるのがお勧めです。これは後の相続財産の調査・登記・相続継承手続で威力を発揮します。
お互いの労力を省くことに繋がりその後の手続きの時短につながります。
<一般的に提出を求められる戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本・その他の書類>
| 誰の書類 | どのような戸籍 | 提出が求められる理由 |
|---|---|---|
| 亡くなった方 | 戸籍(除籍)謄本 | 亡くなった事実・亡くなった日の特定の為 |
| 亡くなった方 | 出生から死亡までの除籍・改正原戸籍謄本 | 具体的に誰が相続人であるかを証明する為 |
| 相続人 | 戸籍謄本 | 相続開始時点で相続人が存命であり相続の権利を有していることを証明する為 |
| 亡くなった方 | 住民票(除票)の写し | 最後の住所地の確認の為 |
| 亡くなった方 | 戸籍(除籍)の付票の写し | 住民票の写しのみでは住所変更の経緯が確認できない場合に必要 |
| 相続人 | 印鑑証明書 | 遺産分割協議書や金融機関・不動産登記など実印を押印した書類の証明する為に必要 ※提出する場合は6ヶ月以内のものを提出する場合が多いので計画的に取得すること |
| 相続人 | 住民票 | 法定相続情報一覧図を請求する場合は相続人の住民票も取得し明記することで不動産登記の場面でも利用できるので必ず取得しましょう |
4 相続財産の調査
相続財産の調査には時間がかかることが多いです。財産にはプラス財産マイナス財産両方含まれます。明らかにマイナス財産が大きいのであれば相続放棄の検討をしましょう。
調査方法はそれぞれの相手方(金融機関・行政等)の手続方法で依頼申請する必要があります。また遺産承継時の手続を考えて必要書類を一括で取得することが望ましいです。相続税を納めなければならない方は10か月以内に納めなければならないことも念頭に入れておきましょう
主なプラス財産としては不動産・預金・株・ファンド・権利関係など
主なマイナス財産としては借金・住宅ローン・滞納税金など
5 相続放棄の検討及び判断(3ヵ月以内)
マイナスの財産が多い場合は相続放棄の検討をお勧めします。
家庭裁判所へ相続放棄の書類とともに申立てを行いますが、実務上財産調査を行ってから相続放棄の申立てを行うことは時間的制約のなかでは非常に厳しいです。時間的に厳しいのであれば迷わず専門家に相談してください。
6 準確定申告(4ヵ月以内)
被相続人が確定申告を行うべき場合に相続人が代わって確定申告を行わなくてはならないのです。期限は相続開始時より4ヵ月以内に行わなくてはなりません。被相続人が生前に家賃収入・不動産売買・株の配当金等が一定額以上ある場合など気を付けましょう。
7 遺産分割協議
相続財産が確定をしたら相続人全員で財産の分割(分け方)の話合いをおこないます。関係良好な相続人同士であればスムーズに話合えるのですが、そうではない相続人はお互い相手方に十分配慮した上で話合いを行うことが肝要です。
仮に話がまとまらない場合は家庭裁判所に調停の申立ての方法はありますが、
時間と労力がかかりますので、何よりのも相続人間の話し合いでまとまるようにすることを最優先としましょう。
8 相続税の申告(10ヵ月以内)
遺産総額が相続税の基礎控除額を超える場合は申告が必要となります。相続税の申告期間は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に納めなくてはなりません。特別な理由があれば申告や納付期限の延長もできます。
9 不動産の名義変更手続・金融機関の解約及び払戻し等
遺産分割協議の内容に従って不動産の名義変更(相続登記)・預貯金等の解約や払戻し・株式の移管・農業委員会届けなど様々な手続きがあります。期限はありませんがそれぞれの機関の手続き方法が異なっていたり、平日手続きがほとんどであり拘束時間もあり時間もかかります。
まとめ
相続の手続はそれぞれの家庭で千差万別です。やはり専門家に相談することは早道ではありますが、時間さえあればご自分でできないものでもありません。手続きは期限があるものから優先的に進めるのがセオリーです。相続放棄(3ヵ月)・準確定申告(4ヵ月)が必要ならばこれを逆算目標にしなくてはなりません。終わりはやはり相続税申告納付(10ヵ月)が基準となります。相続税納付には現金が必要になってくるので納付期限までに相続不動産を処分して現金化、預貯金の払戻し等をしておかなくてはならない事情がでてくる場合もあります。預貯金の解約払戻しに時間のかかる金融機関もありますので注意しなくてはなりません。
相続手続きは一生のうちに何度も遭遇するものではありませんので、効率的に行うのは至難の業でしょう。やはり手続きの流れを熟知した専門家に早めに相談しスケジュール化してもらうのが納得した相続手続きになると思います。

