遺言書を作成する前に必ず考えていただきたいこと
遺言書作成のご相談をお受けする際、私たちはまず次の2点についてお尋ねしております。
- なぜ遺言書を作成されたいのか
- 相続財産について、できる限り損失を避けたいとお考えかどうか
これは、遺言書の内容次第で、相続財産が不要に目減りしてしまうケースがあるためです。適切な対策を講じずに遺言書を作成してしまうと、大切な財産を有効に引き継ぐことが難しくなる可能性があります。
ご相談にお越しになる多くの方は、「このような遺言書を残したい」というお考えをすでにお持ちです。しかし、その内容のまま遺言書を作成されると、結果的に財産が無駄に減少してしまうことが少なくありません。
そのため、遺言書を作成される前に、相続に関する具体的な対策を講じることが重要です。たとえば、以下のようなケースが挙げられます。
- 贈与税が発生しても、生前贈与を行った方が、結果として相続税と贈与税の合計額が少なくなる場合
- 二次相続を見据え、配偶者とお子様への財産配分を最適化すべき場合
- 相続税の納税資金を事前に準備しておく必要がある場合
- 不動産の贈与よりも、特例の活用が有利となる場合
- 実際の財産価値と相続税評価額との乖離を考慮すべき場合
- 将来の認知症リスクに備えておくべき場合
- 障がいをお持ちのお子様がいらっしゃる場合 など
私たちがご提案できる相続対策は、全部で53項目にわたります。お一人おひとりのご事情に応じた最適な対策をご案内いたします。
まずは、お客様の状況に応じた対策が必要かどうかを確認するためにも、お気軽にご相談ください。
遺言書とはどんなものなのでしょうか
遺言書の一番の意義は相続をする方の意向を定めておけば相続における親族間のトラブルを未然に防ぐことができます。『自分の家族は仲が良いから』、『争うような財産は無い』などのお考えで遺言書を作成なされない方がいらっしゃいます。しかし相続人皆さんが遺産分割協議をすることで一致していても、誰が何を取得するかでなかなかまとまらない場合も多いのです。遺言で指定しておけばスムーズに分割手続に移行できてしかも紛争防止に役立ちます。遺産分割の話し合いをまとめることができないと『相続』が『争族』になってしまう可能性もあります。予め遺言書を作成しておけば、そのような『争族問題』を予防することができます。
遺言の種類としては、一般的に自筆証書遺言と公正証書遺言が多く用いられ、それぞれにメリット・デメリットがあります。
どの方式をとるべきかは、ご相談いただいた際にアドバイスをさせていただきますので、まずはご相談ください。
特に遺言書の作成をお勧めするケース
・遺言者が法定相続分と異なる配分をしたい
・遺産の種類が多い(特に不動産相続が多い)
・推定相続人が配偶者と兄弟姉妹又は親(子・孫がいない)
・兄弟姉妹の1人が既に亡くなっていて甥や姪が法定相続人である
・自営業者(資産を分割しては経営がなりたたない)
・推定相続人以外へも遺産を配分したい(実子の配偶者・内縁の妻・第一順位でない相続人・寄付)
・推定相続人の中に行方不明者や浪費家がいる
・推定相続人同士が不仲
・婚姻外に認知している子がいる
・一人で生活している未婚者
具体的に下記の項目で1つ以上該当するものがあれば、特に遺言書を作成しておくことをお勧めします。
◇配偶者に関すること
- 婚姻届をだしていない
- 自分の死後、配偶者に財産の多くをのこしたい
◇子供に関すること
- 子供間の仲が良くない
- 連れ子を今の配偶者(夫・妻)と養子縁組していない
- 病気がちな子供や障害をもつ子供がいる
- 結婚を何度かしており、それぞれに子供がいる
- 子供間に経済的な格差がある
- 子供がいない
- 同居の子供と別居の子供がいる
◇家族に関すること
- 独身である
- 相続人に行方不明者・生死がわからない人がいる
◇相続人以外に関すること
- お世話になった相続人以外の人や団体に何らかの財産をあげたい
- 自分が飼っているペットのことが心配だ
遺言書の種類
遺言は一般的に自筆証書遺言と公正証書遺言が多く用いられます。
<自筆証書遺言>
全文、日付、氏名をすべて自筆にて作成し押印します
作成に特別な費用は発生しませんが、書き方によっては無効になるケースもあったり、死後に発見されなかったり家庭裁判所で検認を受けなくてはならず相続人に負担をかけてしまう恐れがあります。
<公正証書遺言>
打ち合わせをしたうえで公証人に作成してもらったものに証人とともに押印します
公証人に作成していただく分費用は掛かりますが、原本は公証役場に保存され紛失の心配はありません。家庭裁判所での検認手続きも不要なのですぐに遺産分割の手続きにすすめます。きっちりした遺言を残したいのであれば公正証書遺言で残すべきです。
遺言書のメリット
相続人に遺産分割で負担をかけないことが最大のメリットです。
遺言書がなければ相続人全員で遺産分割の協議をしなければならず、遺産分割協議をきっかけに兄弟姉妹同士骨肉の争いになってしまうケースが目立ちます。また日頃疎遠である甥姪ら、前婚の子などと分割協議をしなければならないケースでは財産取得の主張も遠慮がなくなることがしばしば見受けられます。
予め遺言書を作成しておけば相続人に負担をかけることはありません。
相続手続がスムーズ
遺言があれば、相続人が遺産分割の内容・方法について悩んだり、遺産分割協議書を作成する、といった手間を省くことができます。
そのため、有効な遺言書があれば不動産の名義変更や預貯金の解約の手続きを直ぐとることができるのです。
また遺産分割協議の場合は、話し合いがまとまらなければ遺産分割協議はストップしてしまいます。しかし遺言書があれば仮に相続人間で争っていたり行方不明者がいる場合でも、有効な遺言があれば円滑に相続手続きを進めることができるのです。
遺言書が見つかったら
<公正証書遺言書が見つかった>
『家庭裁判所での検認』手続きは不要です。
遺言の内容を実現する手続き直ぐに着手できます。
<公正証書遺言書 以外が見つかった>
遺言を執行する前に相続人が家庭裁判所で遺言の検認の手続きを行う必要があります。(公正証書遺言である場合は必要ありません)
検認後に遺言の内容を実現するために手続きを行う『遺言執行者』が遺言執行の手続きに移ります。
『遺言執行者』は遺言者が遺言執行をしてほしい人を遺言に明記し指定しておけばスムーズに手続に移行できます。 その指定がない場合は家庭裁判所で遺言執行者の選任の申立ての手続きが必要となります。
『遺言執行者』の行うことは
・財産目録の作成
・遺言のとおりに不動産や預貯金等の名義変更
・その他遺言の内容を実現するために必要な一切の行為
遺言執行者になるには特別な資格はいりませんが、遺言執行者の業務はとても専門的で複雑なものも多いため、相続に関する専門家に依頼することが望ましいです。
